学力向上取り組み秋田県 厚生文教委員会視察その2

 

大仙市教育委員会、角間川小学校の先生方とご一緒に

 

ゴーヤの料理

新1年生を迎える「だしあい」の様子

●学力向上の取り組みについて、小・中連携教育の取り組みについて(レポートその2)

前回のレポートに続き、角間川小学校の取り組みを紹介します。

 

5校時を参観しました。まず、1年生の教室では、「だしあい」という話し合い活動(学級会)をやっていました。議長、書記がいて、テーマに沿って、意見がある子は手を挙げて発言します。発言する時の手の上げ方、立って椅子をしまってから発言し、また、椅子を引いて座るという一連の動作も姿勢がよく、きっちりしていました。また、反対意見もしっかり発言し、先生も子どもたちも、「静かにしてください!」とか「前を向いてください」とか「準備はできてますか」というような無駄なことに時間や労力を割かなくて済むので、充実した学習ができるということがよくわかりました。

 

次に、3年生の教室を見学しました。黒板に張ったローマ字表を見て、気づいたことを出し合っていました。黒板の近くに座り、先生と子どもたちの距離が近く、子どもたちはローマ字表に集中しているのがよくわかります。先生は子どもたちの興味を引き出すように進めていました。また、教室の掲示物も情報量が多く、きちんと整理してはられていました。他の学年では、社会や算数を参観しましたが、板書の情報量が多く、ポイントや見出しは色分けされていて、とても見やすく工夫されています。また、5年生の算数では、サイドにある黒板も利用してさらに、たくさんのポイントなどが書かれていました。

大仙市の教育活動について紹介している冊子には「板書は授業の地図」と紹介され、重要視されています。東大和市では大きなテレビを導入したり、プリントを使った授業がよくみられますが、特別な教材がなくてもしっかり学習できる見本のような板書でした。

 

6年生はグリーンカーテンで育てたゴーヤを使った調理実習でした。ちょうど調理が終わったところで、ゴーヤジュースとゴーヤの佃煮を試食させていただきました。後ろの方に立っていた方が試食品を取らずにいたら、気づいた子どもが「どうぞ」とさりげなく差し出し、食べ終わった容器を持っていたら「ゴミはどうぞ」といって回収してくれました。先生に言われたわけでもなく、自然な振る舞いはしっかりと身についているのだと感じました。収穫されたゴーヤはまるまるとよく育っていて、かごに積まれておいてありました。きっと一人一人持ち帰り、子どもたちは家族にゴーヤ料理を作ってあげることでしょう。そこでは、ゴーヤはどうやって育てたのかとか、調理実習はどうだったとか、学校の話題も出るでしょう。子どもたちが学校で勉強した調理実習は、しっかり家で実践されることになるのだと感じました。

 

参観後、校長先生からは、学校経営の概要を含め、学校での取り組みを説明していただきました。教育目標や取り組みなどは何か特別なことをかかげているということではなく、「学力と心力と体力をバランスよく育む」という、ごく普通の取り組み目標です。具体的取組として掲げていることも、ひとつひとつは難しいことではないが、その取り組みが授業でしっかりと実践されていたことが、高い効果を生み出しているのだと感じました。そして、一つ一つの取り組みの成果は正しく評価されていました。

 

また、テーブルの真ん中にきれいな花が活けられていました。数日前に校長先生が地域の方に「東大和から視察に来る」と話をされたところ、おもてなしの気持ちを込めて送られた花だそうです。学校が地域の方に見守られていることがよくわかります。大仙市の教育方針の一つに「学校を開く」ことがあります。学校は通っている子どもだけのものではないということがよくわかりました。 (じつかわ圭子)