市議会建設環境委員会視察報告 ~岩手県滝沢市・葛巻町・紫波町~

庁舎から見える南部富士(岩手山)

 

 

5月12日~14日、議会建設環境委員7名と同行者副市長、議会事務局1名の合計9名で岩手県に主に環境政策に関する行政視察に行きました。

 滝沢市…環境基本計画を市民参加で作成。作成にかかわった市民はその後、環境パートナー会議のメンバーとして計画の推進に行政と協働で取り組んでいました。滝沢市は今年2014年の1月に市になったばかり。それまでは日本一大きな村でした。人口は約5万5千人。住民自治日本一を目指すとあって、自治会の加入率も90%ほどとのこと。「住民がいかに動けるかを職員は考える」という姿勢に、我が市もこうありたい、と感じました。環境課の職員5名で、26の事業をこなしているのは、やはり市民の力をうまく取り入れている結果だと思いました。

風を受けて勢いよくまわる風車

葛巻町…ミルクとワインとクリーンエネルギーの町ということで、年間視察が約300団体、訪れる人が約50万人という全国的に注目されている町。「町の厄介な物を活かし、地域の資源を宝に変えてきた」という議長のお話はとても魅力的でした。将来を考えて1997年に議員がデンマーク視察に行き、街づくりに活かしていったとのこと。まちのエネルギー生産は電力自給率160%以上で風力発電がほとんどを占めています。

ペレットストーブ

他にも太陽光発電、牛糞と家庭から排出した生ごみを使用したバイオガスプラント、木の皮のチップを使用した木質バイオマスガス化発電設備、ペレットボイラー、ペレットストーブ、エコハウスなどを見学しました。また、炭焼き小屋も見学しましたが、炭や薪は都心に向けて販売しています。

多くの施設が、企業や国の補助金等で建てられていたため、葛巻町の予算をあまり使用せずに建てられていることに驚きました。産業との協働ができているのです。

また、くずまきテレビという番組も放送され、町の様子を映していました。アナウンサーは大学生の放送部員が担当しているなど、学生の力を取り入れていました。

ペレット…木の皮を燃料用に加工した木質のペレット

 紫波町…午前中は下水道事業について。赤字の下水道会計を地方公営企業法を適用し、負債を減らしていく道筋をつけた職員の説明を聞きました。東大和市でも市全体の借金は300億円を超えていますが、日々の業務の中でその数字に対して感覚がマヒしているのか、職員が自分一人では解決できないと感じているのか、市民に新たな負担をお願いして負債をへらしていく、というようなことはなかなかできていません。

紫波町の担当の方は、熱意をもって住民に説明し、今後10年間で3回の値上げをしながら赤字決算を黒字にしていくところから取り組んでいくとのことでした。将来世代の負担を減らさなければならないと、危機感を持って取り組めることが素晴らしいと感じました。私たち議員も意識を変えていかなければならないと改めて思いました。

午後は、NPO法人紫波みらい研究所事務局長に、循環型まちづくりの理念に基づいた環境事業を説明してもらいました。紫波みらい研究所は約8年前に町が中心になって中間支援を行うための組織として作られました。その後市民参加を進めていくうちにNPOになっていったということで、市の事業を一緒に進めている様子を説明してくれました。

住民向けにはエコbeeクーポン券などを発行することで、環境に興味を持たせる工夫を伺いました。

また、紫波町の最寄駅は待合室が町産木材を使っていてPRを兼ねて居心地の良い駅になっています。

駅前は開発が進み、オガールプラザが2年前にできました。中は官民一体の施設でした。町営図書館、情報コーナー、マルシェ(スーパーマーケットの様)、子育て家庭支援センター、キッチンスタジオ、アトリエ、公民館のような交流館など。それが駅徒歩3分ほどのところにあります。また、現在体育館、宿泊棟、役場庁舎、サッカー場などが作られていて、これからが楽しみな所でした。

 今回の視察は、主に環境に関する取り組みを見てきましたが、いずれの自治体も、住民や企業や学校などと協力し合って進めていることが印象的でした。環境事業は人手も費用も掛かりますが、みんなで協力し合っていけばより幅広く活動ができます。そのためのコーディネートを行政が行なっていけば、少ない職員数でも、充実した事業を行なえるものだと確信しました。また、中間支援ができるようなNPOの育成も必要だと感じました。

 視察先の取り組み事例を、そのまま東大和市に適用することは難しいと思います。しかし、葛巻町の議長の言葉「町の厄介な物を活かし、地域の資源を宝に変えてきた」や滝沢市の「住民がいかに動けるかを職員は考える」や紫波町のNPOの取り組みなど、どれも工夫と知恵で、うまく進められているのだとわかりました。

これらのことを踏まえ、6月議会の私の一般質問は「東大和の自然環境を活かした市の活性化について」を行ないます。       (じつかわ圭子)