-ジオパークまちづくり・シティプロモーション-  建設環境委員会北陸行政視察 その2

勝山市の「わがまち魅力醸成事業」は、人口2万5千人足らずの勝山市に年間171万人もの観光客が訪れるとのことで、行政だけではまかないきれない、おもてなしや、まちをきれいにしたり、名産をつくったりなどを、市民提案制度でこれまで272事業すすめてきたそうです。それには、補助金を出したり、市内まちづくり団体で協議会をつくったり、プレゼンテーションや事業の年度末の発表会などさまざまな工夫がありました。市民提案事業はぜひ、東大和市でも取り入れていってほしいものです。

富山市の「シティプロモーションからシビックプライドへ」の取り組みについては、環境を中心に据えたまちづくりをかなり戦略的に行なっていました。まず、ライトレール(路面電車)を導入し公共交通を軸としたまちづくりを進めました。正のスパイラルを生み出し、高齢者や若者の外出を増やし、中心街を活性化させ、地域経済を活性化させていきました。同時に拠点の周辺に定住者を増やし、市民意識を変化させ、選ばれるまちとして持続性の高い都市を作ってきました。積極的に国際会議の招へいなども行なっています。市をアピールするに当たり、市民の印象と市外の方のまちの印象のギャップを調査して、現状をしっかり把握することから始めていました。雑誌に特集を組んだり、映像やアニメを積極的に活用したり、話を聞いていると、住みたくなるようなまちづくりの仕掛けがたくさんありました。高齢者がまちに出かけやすいように、お出かけ定期を作ったり、孫と出かけると施設の割引が受けられたりというような、公共交通と結びつけたサービスも多くありました。担当者のお話では、「地域交通会社が1社なので、交渉をしやすい。信頼関係があるので、理解して事業に協力してもらえる。」ところが強味だとのこと。長期的な視点を持ったまちづくりの成果だと思いました。

     北陸新幹線が開通し、多くの観光客でにぎわっていた北陸3県を駆け足で回りましたが、水や食べ物がおいしく、子育て環境も充実しています。しかし、特に勝山市の人口減少の状況を見ても本当に深刻な問題だとわかりました。私たちの東大和市はまだ、人口はしばらく微増していくと思われますが、市としてのアイデンティティを確立していないようなところがあると思います。今回の視察先はいずれもまちの魅力を短時間で見せてくれました。しかし、それには、行政の様々な仕掛けがあったことがよくわかりました。東大和市でも、「魅力発見」の気運は高まっていますが、そのことが次につながるように、仕組みを作る必要性を強く感じた視察でした。      (じつかわ圭子)