第5回「福島を忘れない!全国シンポジウム・現地見学会」 研修参加報告

2017年7月16日~17日 ホテル福島グリーンパレス

<1日目>  避難解除地区の各自治体議員からの現状報告

川俣町(H29.3解除)菅野氏 /葛尾村(H28.6一部残し解除)松本氏/飯館村(H29.3一部残し解除)渡邊氏

 

*避難解除後の課題*

・除染も終わらず汚染された山林も手つかずのまま避難解除された。

・住宅周りの除染が住んでも年間1ミリシーベルト超すところが2000か所以上残されたまま。

・農地の除染が終わっても農地に石が混じっていたり、農地のH高低差があり水田として利用できない状態。

・除染の終わった農地に、除染廃棄物の袋が山積みとなり農地として使えない。(約62万袋)

・帰還者が2割にも満たないため、商圏がなく商売が成り立たない。

・これらの問題を抱えながらも避難解除だけが進められた。

小児甲状腺がん多発 191人の小児甲状腺がん (29.6.5発表)

仮説焼却炉の建設ラッシュ 19市町村推定24基 稼働わずか2か月~4年 建設費2600億円以上

29.3.31避難解除対象者5万2370人 うち、機関・帰還予定者4139人(7.9%)

講演「チェルノブイリと福島」  NPO法人OurPlanetTV代表理事 白石草 氏

チェルノブイリ原発事故後に生まれた子どもたちの様子の取材を通し、福島での状況と比べて特に甲状腺がんなどについて関係性の話があった。

子どもの健康への配慮は国を挙げての政策として確立している。チェルノブイリ法により定められる居住の制限は日本の4分の1以下。病気にかかる治療より予防のほうが効果が高いことからウクライナでは国として保養などを行なっている。

福島での甲状腺がんの腫瘍の急成長と重症化がみられる。手術例やRI治療が行われている。県外でも重症例。

長期にわたり、世代を超えて起きる健康被害が起きている。

復興の妨げといわれて、他人には言えない。4人に1人が進路が困難。

 

帰還できずに事故後から着の身着のままで離散した人々の苦しみと裁判の様子、原発や除染での作業員の劣悪な環境などの報告

福島原発事故津島被害者原告団長 今野氏

福島原発被害弁護団  広田弁護士

高濃度汚染水が漏れていた被曝事件についても東電はいっさい安全管理は負わないといっている。多重下請け、労働力の質の低下。原子ムラの温存、加害者意識の欠如。

 

今後の方針など  たんぽぽ舎 柳田氏

※交流会においては、写真家や市民団体などから活動の紹介があった。

なかでも、市民2人で愛媛伊方原発周辺地域で戸別に住民アンケートを取り、原発反対の住民が50%を超えているという結果だったという地道な活動などには力づけられた。

経産省前で反原発運動を続けている方や、津波や復興の様子を写真にとり国内外で展覧会を開いている写真家の方々など、訴える手法は様々ではあるが、原発をなくし、住民主体の復興を望む思いは同じである。

 

<2日目>

福島市内から2台のバスで原発被災地の現地視察。川俣町・飯館村・南相馬市・浪江町・双葉町・大熊町・富岡町・楢葉町・広野町・いわき市

フレコンバッグの仮置きが目立つ山間部。津波被害と放射能の影響で6年経ってもやっと漂流物が片付けられて一面の草原となっていて、ところどころ、コンクリート製の土台が残っている沿岸部。

3月31日で避難解除になった地域では、駅前整備が進んだり、役場周辺にプレハブの店舗が作られたりしているが、帰還する住民が1割にも届かない。飯館村役場前も復興予算により、教育機関の建物の建設が進められているが、住民にとっては、放射能の影響の不安と、仕事があるのか、営農が続けられるのか、生活していくうえでの環境が整わない中で、住民不在の復興が進められていると感じた。

復興に対する考えは住民間でも異なり、また、自治体間でも対応に差がみられる。市の財政規模を大きく超える復興予算がついて、どのように使っていくか、また、その予算がいつまで続くのか先が見通せない中で対応を迫られている様子などがわかった。

この原発事故は、数年で結果を求められる今の政治のやり方とはまったく異なり、少なくとも数十年単位、あるいは何万年もかかる、自然との付き合い方が求められていると思います。庭先までの除染では、畑や山林に降り注いだ放射能の影響を避けられない。広大な土地の木や草や土や雨や地下水など、自然の恵みが豊かな福島で、とるべき復興の姿は、早く帰還させることだけではないと強く感じました。