コミュニティバスについて議会建設環境委員会で行政視察 (兵庫県明石市・三木市・奈良県橿原市)
11月21日から3日間、行政視察に行きました。テーマをコミュニティバスに絞り、各自治体の取り組みを伺いました。2日目の三木市では実際にコミュニティバスに乗りました。
東大和市では現在運行から10年、ルート改変から5年経った「ちょこバス」のルート見直しを行なっているところです。8月と10月に地域懇談会を行ない、今年度中には新たなルートを決められるよう、話し合いが進められています。今後の「ちょこバス」運営の参考にしていこうと、今回の視察になりました。
交通の空白不便地域の解消のため、各自治体で始められたコミュニティバスの事業は、どの自治体も苦労をしている様子がうかがえました。そもそも、採算が取れるようであれば、交通会社がバスを走らせているはず。もともと路線があったのに廃止されたため、コミュニティバスを運行させることになった、という自治体もあり、採算性よりも、福祉的な側面が大きい。当市の市長は「初めから赤字を考えているようではだめだ。」と発言されていましたが、目標値が高すぎても実現性に乏しくなります。その点、今回視察先の自治体では、例えば利用率50%を目標にして、達しない場合は廃線も考慮して見直していく、という見直し基準をあらかじめ設定しているところがありました。また、目標利用人数を設定し、達しない場合には、地域の方と懇談しながらより利用しやすいコースにかえたりしていました。また、コースを決める際に実証実験として、ある一定の期間走らせて、継続するか廃止するか検討しているケースもありました。
また、利用促進のための施策として、イベントに合わせてコミュニティバス利用を呼びかけたり、スタンプラリーなどの企画を考えたり、年間で利用者の少ない冬場の利用を増やそうと、クリスマスの装飾をしたり、様々な工夫を市の職員と運行バス事業者と一緒に企画するなど、行政の柔軟な取り組みと実行力は印象的でした。
三木市では市のコミュニティバスの他に、地域ふれあいバスとして、市民のボランティアの方がワンボックスタイプの車を使って利用料無料で走らせていました。この点については保険の関係や事故のことなど問題が多いのではないかと議論があったそうだが、市の事業として位置づけ、市の車で市民が有償ボランティアとして運転をしているという形態でやっているとのこと。
2日目の午後は三木市のコミュニティバスに乗り、市内を巡りましたが、そのバスには老夫婦が1組のみ。途中で降りた後は、私たち視察団が貸切のまま約50分間走っていました。私たちが乗ったのは平日昼間のことでしたが、ニーズをつかんで走行させることの難しさを感じました。三木市は鉄道の利用も減り、公共交通について広域で対策を検討する協議会も設置され、「乗って残そう」を合言葉に頑張っていました。
行政視察は、その団体の施策や取り組みを直接聞けることはもちろんのこと、その自治体の様子を知ることで、その地域にあった取り組みをしている様子や、職員の方の熱意なども感じられます。今回、橿原市の職員の方が「東大和市のホームページを見たところ、ちょこバスの朝晩ルートと昼間ルートの2種類があり、工夫されていて参考になります。」とおっしゃっていました。それに対し、我々は声をそろえて「そこが問題で利用者数が激減し、今ルート見直しをしているところです」と。HP上、つまり昔風にいえば「机上の計画」だけでは実際がわからないと実感しました。
視察の報告を紙面で済ませることが多いのですが、今回は委員会として、担当部との懇談や要望書提出などにもつなげていこうと、委員の結束も感じられる視察となりました。(じつかわ圭子)