学力向上の取り組みについて秋田県大仙市角間川小学校へ厚生文教委員会視察レポートその1
厚生文教委員会メンバー で10月2日から4日秋田県と山形県の視察にいきました。今回は初日に行きました秋田県大仙市 角間川小学校の報告です。
全国のなかでトップレベルの学力の秋田県の教育、その中で県平均よりもさらに高い学力を示す大仙市の教育について、実際に小学校の授業を見学させていただきながらその取り組みについて伺いました。
大仙市役所に着いてまず目に入った市の標語看板には教育委員会の「みんなで地域の学校を盛り上げよう!」「子どもたちに生きる力を育むために地域の力、市民の力を!」とあり、地域で子どもたちを育てようという方針がしっかりと根付いていると感じられました。
視察先である角間川小学校は全校児童85名、各学年1クラスずつの小さな学校です。校舎に入ると掃除中の子どもたちは大きな声で来客者一人一人に「こんにちは」とあいさつをしてくれました。後で伺った話からすると、開かれた学校づくりは市の教育委員会の大きな方針で、学校を訪れる大人も多いため、来客者は珍しいことではなかったのでしょう。ごく自然な元気のよいあいさつで迎えてくれました。
掃除の後、週1回行われている「木刀振り」を体育館で見学しました。舞台上には4名の児童が上がり、正座をして全校生徒が入ってくるのを迎えていました。児童は2名ずつ体育館の入り口で礼をしてから入ってきました。所定の位置につくと静かに木刀を置き正座をして待ちます。体育館に入ってからは無駄なおしゃべりはしていけないことになっているということで、しんとした中に始まる前の緊張感も漂っています。全校揃ったところで、壇上の児童の掛け声に合わせて、全校一斉の木刀振りが始まります。「めーん!」、「こて!」の声が響きます。一通りの素振りが終わったら、静かに黙とうをします。その静けさに心が洗われる思いがしました。そして、学校の心得を大きな声で唱えます。「一、わたしたちは礼儀正しい子どもになります。一、わたしたちは正しいおこないをします。一、わたしたちはすべてにベストをつくします。一、わたしたちは角小健児として高いほこりをもちます。」その後、後ろの児童から順番に向かい合って礼をして、体育館を退出します。一人もふざけたり、ふらふらする子どもはいません。無駄のないその一連の行動に視察団一同は深く感動させられました。そこにはただ木刀を振るということだけではない、大切なものが確かにありました。この木刀振りは、普段は先生方も一緒に行うそうです。もともとは、剣道の盛んな街で、初めは竹刀で行っていたそうです。45年間続いている角間川小学校独自の活動です。現在使っている木刀は地域の方から送られたもので、廊下に木刀置き場がありますが、それを休み時間にいたずらするような子はもちろんいないとのことです。
大仙市の教育委員会の資料に「だいせんビジョン」として、「当たり前のことを当たり前にやる」ことができる環境づくりとありました。当たり前のことをやるための集中力や落ち着きが東大和市の子どもたちには欠けていると感じていたので、それを身に着けるにはどのような取り組みをしているか、尋ねました。具体的な取り組みとして、たくましい心と体を育むために、〇マラソンや木刀振りや外遊び、〇集団登校・下校、〇働く喜びを味わわせる活動(例えば田植えや農園、校内清掃)を通して、静と動のメリハリがある生活が身についているのではないか、というお話でした。その成果として、集中力、姿勢の良さ、肥満傾向の解消、体力向上、生活習慣の確立ができているとのことです。体の土台がしっかりしているから、そこに積み上げていく学力がしっかり身につくのだと感じました。 つづく (じつかわ圭子)