いじめ防止プログラムの講演会に参加して

いじめ防止プログラム―暴力を未然に防ぐために―

 1月17日(木)に東京生活者ネットワーク会議室で、いじめ防止プログラムについての講演会があった。講師は、湘南DVサポートセンターサポート理事長の瀧田信之さん。瀧田さんは日本教育新聞にも連載している。子どものボランティア活動に長年携わり、その中で、暴力の被害に合わないような教育の必要性を感じて、NPOを立ち上げ、藤沢市内の中学校と協力して、いじめ防止プログラムを作りました。昨年のいじめ問題により、さらに関心が集まり、品川区や世田谷区の一部の学校でも中学校で取り入れている。

 

プログラムの特徴はいじめを罰するのではなく、加害者がいじめにいたった背景を想像すること、自分を好きに思う自尊感情を大切にすること、いやなことははっきり伝えられるようなコミュニケーション力を高めることなど。5時間の授業時間の中で、スタッフがファシリテーターとなり、子どもの考えを引き出しながら、進めていく。

 

また、5時間の授業終了後、「スクールバディ」になる子どもたちを募集し、さらに放課後に講義を行なう。スクールバディになった生徒は8時間の研修後は自分たちが相談役になって、自主的な活動を行なっていく。校内でいじめ防止に関する啓発を行なったり、時間や曜日を決めて、生徒の相談(どちらかというと雑談することで解決していく場合も多い。)を受けたり、深刻な場合は学校とも連携していく仕組み。生徒自身がいじめ防止について考え、行動していくことで、学校からいじめをなくしていくことができる。

 

いじめていた子を排除しても、次にいじめる側になる子が出てくる。(いじめられていた子が今度はいじめる側になるケースもよくみられる。)排除してもいじめの構造があるところにはいじめはなくならない。

 

 印象に残った言葉は「いじめは遺伝しない」と子どもに伝えているとのこと。いじめは学んできたことから起こる。10代はまだ学び直しができる。加害者の背景を考えることは、子どもたちにとって大切。

 

 昨年東大和市で行われた「いじめ防止のためのシンポジウム」の中でも、中学生の発表がよかった。子どもたち自身が考える機会をつくっていく必要がある。

市の教育委員会は「いじめ防止のためには人権を尊重し、いじめが起こらないような雰囲気作りが大切」としている。

 

いじめ防止のことは事件が起きたら思い出す、ということではなく、日ごろから話題にしてほしい。そして深刻化する前にいつでも相談できるよう、大人側の体制も整え、子どもにメッセージを伝えていく必要がある。(じつかわ圭子)