3月議会に提出された「情報公開請求で開示された資料の正確性を求める陳情」の審議について
行政は様々な会議で議事録を作成し、行政文書として保管をしています。市民はその内容を情報公開請求で開示請求をして確認することができます。今回、その議事録内容が、実際に話し合われた内容と違うのではないかと感じた市民の方が、「確認のために会議中にとっていた録音テープを聞かせてほしい」と要望したところ、「テープは消している」とのこと。それでは、確認ができないので、市民の方が後から確認ができるようにテープの取り扱いについて配慮してほしいというのが陳情の大まかな趣旨です。私は、この陳情の採択に賛成しましたが、反対多数で最終的には不採択となりました。
まず、この陳情については総務委員会(私は総務委員ではありません)で審議されました。委員会の中で行政側は「文書管理上、正式な議事録が作成されればその時に利用したテープの保存の必要はない」とのこと。規則では確かにそのようになっています。しかし、万が一、行政の都合の良いように議事録が作成されたことが仮にあったとしても、後で確認する方法がありません。
それに対し、委員会に出席していた議員の中からは、「この陳情を認めたら、行政の文書・議事録は偽物ということになる。行政が行なっていること全てが信用のないものとなってしまう。それを議会が認めたことになる。だから採択はできない。」というような発言がありました。本来なら行政をチェックするはずの議員が、行政の肩を持ち、結果として、この陳情は不採択となりました。
私は、文書保管についても、IT化が進んでいる現状から、録音データを保存していくことは難しいことではないと考えます。従来からの方法で問題があるなら改善していくべきです。そもそも、行政はこの陳情内容に関しては問題ないと考えているため、改善もないと考えているようですが、市民の知る権利はまったく尊重されていないことがわかります。
今後、録音データの取り扱いについて、他の自治体の取り組みや、必要があれば条例や規則の変更などを含め、考えていく必要があるのではないでしょうか。(しかしながら、このような意見は、東大和市議会では少数意見です。)
以下は、私が本会議で行なった討論内容です。
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私は、本陳情の争点は、市民が行政文書の正確性を検証する方法がないという点だと考えます。行政文書の情報公開請求は市民の権利です。その内容においては、事実と相違があったり、行政側にとって都合のよいように記録されるようなことがあってはなりません。また、市民からそのような疑念があった場合に、行政に対し、正確な資料を提示することを求めることが、市民の代表である議員の役割です。しかし、現時点において、その内容を検証する方法は不十分と言わざるを得ません。
総務委員会の議論の中で、市民による録音は認めるため、それにより、市民側は検証できる、といった発言がありました。しかし、もし仮に、市民側が録音した内容と、行政文書として作られた議事録に差異が認められた場合、一度行政文書として認められた文書を、行政側は修正するのでしょうか。私は、この点において、まだ議論が必要だと考えます。
一方、録音テープの扱いについては、以前、議会の中でも問題になりました。繰り返される問題については、今後、同様の問題が起こらないよう、対策を講じるべきです。
特に、市民参加の会議の議事録については、参加した市民と行政、双方が納得できるような内容でなければ、行政への不信感を招きます。行政のやることに間違いはない、という態度や、行政はこのように説明したが、市民のとらえ方が違うというような考えでは、市民からの信頼は到底得られません。
情報公開と説明責任をかかげ、市民との協働を謳う東大和市が市民の信頼を失わないためにも、この陳情を採択し、真摯な態度で情報公開の在り方を検証していくことを求め、賛成討論といたします。