図書館の指定管理者制度導入について

当市では桜が丘図書館と清原図書館の2地区館に平成30年4月を目途に指定管理を導入する検討が進められています。このことについて、市民グループを中心に問題が顕著化し、昨年12月の定例議会でも私を含め5名の議員が一般質問に取り上げました。

大きく分けて問題点は2つあります。

1点めは、指定管理導入にあたっての検討の進め方について。

2点目は、当市の図書館、特に複合施設内にある2地区館について指定管理者制度を導入する必要性について。

まず、1点目の指定管理導入にあたっての検討の進め方についてですが、市では、民間活力の導入として、「公の施設の管理運営のあり方検討委員会」という市職員による委員会が検討してきた経緯があります。しかし、内部の検討委員会だからと、その内容については、会議結果の公表も議事録の公開もされてきませんでした。そのような中で、昨年8月3日の会議では、図書館の指定管理を平成30年4月を目途に導入する方針を決定し、その後、担当の教育長へ検討を進めるよう依頼があり、10月の図書館協議会でいきなり指定管理導入の検討について諮問があり、はじめて、市民の前に正式に伝えられました。教育委員会には、その後11月に報告(簡単な質疑あり)、社会教育委員会のなかでは一切報告はありません。

議会への報告もありません。情報公開で資料請求した8月の「公の施設の管理運営のあり方検討委員会」の議事録の最後には、議員へ「なるべく早く情報提供していきたい」と述べられていましたが。

そればかりか、同時に民間活力の導入の方針を決めたやまとあけぼの学園と子ども家庭支援センターのみのり福祉園跡地への移転に関する質問が、9月の議会で出たにもかかわらず、その時の答弁は「検討中」でした。これでは、議論にもならず、行政側がすべてを決定した後に、議会は承認だけすればいい、ということになりかねません。

また、検討委員会の中で検討した際の資料は、図書館の指定管理者として、多くの自治体にかかわっている、株式会社図書館流通センターが作成し、その他の民間の提案なども聞いていません。これでは、指定管理者側の言いなりになりかねません。また、各地でおきている、指定管理者制度の問題などについても一切検討されていません。よい面ばかりでなく、デメリットも含め、検討していかなければなりませんし、検討の順番が、まず、指定管理者制度導入ありきでスタートしていることに疑問を感じます。

 

2点目の当市の図書館への導入の必要性についてです。そもそも、2地区館の開館時間の延長と開館日を増やすために指定管理者導入を進めたいとのこと。確かにその点だけに絞って考えれば職員の配置をこれ以上増やすことが難しいと考えている市にとっては、指定管理で民間に任せることが良いのかもしれません。しかし、そのために払わなければならない代償は大きいと思います。

中央図書館や他地域との連携がうまく取れるのか、地域のたとえば読み聞かせのボランティアさんなどや市民との連携はどうなるのか、複合館の他の施設との関係はどうなるのか。

また、職員の継続性の問題として、司書の低賃金や指定管理という制度上職員の離職率が高いことが指摘されています。

そして、市長は、図書館は「選書とレファレンス」が大切だと述べる一方で、将来的には中央図書館の指定管理導入もありうるとしています。そういったことで、東大和市独自の地域の資料の収集や、市民の知る権利を守ることができるのでしょうか。

昨年、11月25日国の経済財政諮問会議に総務大臣高市氏の提出資料によると、指定管理者制度を積極的に進めている総務省ですが、図書館など教育機関への指定管理者制度導入を目的としたトップランナー方式の適用は見送ると表明しました。このことは、市長も承知をしているとのことで、今後の検討に大きく影響してくると考えます。

市民の中からも、問題だとする声が広がり、1月29日・3月5日に学習会を企画しています。また、図書館協議会の委員の方々も、積極的に情報を収集しています。

開館時間の延長も含め、どのような図書館のあり方を望むのか、市民の間での議論が広がっていくことで、行政だけで決める問題ではないとしていきたいです。