共謀罪に関する東大和市議会での陳情審査について
国では、6月15日に「組織的犯罪処罰法改正案」(「テロ等準備罪法案」)が成立しました。参院法務委員会での採決は省略され、中間報告という形で異例の採決が行われました。多くの疑問が解消されない中、数の力で強行採決されたことに強く抗議します。
東大和市議会には「組織的犯罪処罰法改正案」の創設に反対する意見書提出を求める陳情が提出され、6月8日に総務委員会で審議が行われ、6月14日の本会議で採決が行われました。委員会の審議では賛成・反対同数で、委員長により不採択となりました。また、本会議においても、賛成・反対同数で、議長の判断により不採択となりました。議員の中でも意見が割れたこのような法案は丁寧に議論を重ねるべきです。
6月14日の本会議で私が行なった、討論は以下の通りです。
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テロ対策として「国際犯罪防止条約」のための国内法整備をすすめなければ東京オリンピック・パラリンピックが開催できないという説明は納得できるものではありません。一つの理由は、国際犯罪防止条約がテロ対策のためとして作られたものではないことは条約の内容からも明らかです。不十分な点があれば、その部分をしっかりと議論すべきであると考えます。
もう一つの理由はテロ対策についてです。世界の情勢からもテロに対し、不安の声は多くあります。対策は必要であると考えますが、すでに日本ではテロ防止関連諸条約を13本締結済みで、外務省のホームページにも日本の国際テロ対策協力として掲載されています。
テロ対策のためとして、「国際犯罪防止条約」の必要性の名のもとに、組織的犯罪処罰法改正を急ぐことには反対です。
過去には共謀罪法案の対象となる犯罪は128まで限定した経緯もありながら、新たに600を超える対象から277に減らしたということでは本当に厳密にしたといえるのでしょうか。全く説得力がありません。
政府や法務大臣の答弁に対し、心ある市民は不安を増しています。
市議会総務委員会においても委員の立場は二つに分かれました。法律の体系を変えてしまうほどの影響を及ぼす改正を、意見の対立したまま成立させることが、本当に国民の利益になることでしょうか。国連の特別報告者からも「法律の広範な適用範囲によってプライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性」を指摘されながら、聞く耳を持たずに進めようとする国のやり方は、とても納得できるものではありません。
また、共謀罪は密告や盗聴などをすすめ、人々は疑心暗鬼になり、自由にものを言ったり行動できなくなる委縮した社会になることを市民は恐れています。万が一にもそういった人権侵害が起こらないよう、丁寧な議論を国はすべきです。
以上のような理由から、私は今国会で審議中の「組織的犯罪処罰法改正案」の創設に反対する意見書を提出することに賛成します。