原発の社会と市民の声

小金井市の食品放射能測定室を見学してきました

測定室の前でみなさんと
測定室の前でみなさんと
7月1日、とうとう大飯原発3号機が再稼働を始めてしまいました。5月5日に国内すべての原発が止まってから約2か月。国民は原発の恐ろしさを知り、ライフスタイルを見直し、節電をし、再生エネルギーへのシフトを望み、原発のない社会を目指そうとしています。署名を集め、デモに参加し、政治へ訴えてきました。32万人が署名をした都民投票条例案は残念ながら都議会で否決されてしまいました。このような市民の動きは無駄だったのでしょうか。私は、決して無駄だとは思いません。原発について及び腰だったマスコミも徐々にですが、世論の脱原発の動きを伝え始めています。

小さな動きですが、東大和市内でも「東大和から放射能不安をなくす会」ができ、放射能についての学習会や茶話会、市内で脱原発のデモを行なっています。また、食品の放射性物質測定室を市民がかかわって作っていこうという動きもあります。小さなお子さんを連れて茶話会に参加する「子どもを守りたい」というお母さんの気持ちは決して身勝手なことではありません。「福島の子どものことを考えたら、東京では心配ない」という言葉に、東大和の親たちは傷つきます。もちろん福島の子どもたちは心配です。そして、東大和の子どもたちも気を付けなければ決して安心できる社会ではなくなってしまったのです。そのことをもっと多くの市民と共有できるようにしたいです。

6月26日に小金井市の放射能測定室を見学してきました。25年前のチェルノブイリ原発事故をきっかけに21年前から食品の放射性物質測定を続けています。「続けてこられたのは、(市の職員が測定するのではなく)市民が運営をしていたからです」という説明が印象的でした。はじめは「市が測定器購入と測定をすること」を要求する署名を保育園の保護者達が集めて、陳情を出したそうです。その後、陳情は通ったがなかなか導入が進まず、その原因の一つが測定をする職員の人件費の問題だと知り、陳情者の中から運営を名乗り出て、市民が測定するようになったそうです。市民が運営に携わることで、お任せではなく、自分たちの問題として取り組み続けることができたとのことです。

真に子どもたちのため、市民のためを考えるなら、もちろん行政が責任を持って行なうべきことがありますが、市民が担えることもあります。そして、何を行政が行なっていくかは、市長の意向もありますが、一番大切なのは市民が何を希望するかということに尽きると思います。地方自治体は市民のためにあるからです。

私たちは、行政がやって当然、お任せすることがあたりまえの世の中に慣れてしまっています。しかし、奇しくも東日本大震災と福島原発事故が、市民が声を上げることの大切さと、市民と行政がともに歩み寄って協働することを気づかせてくれたのではないでしょうか。
市民活動をし、行政に働きかけることは時間も労力もかかりますが、やりがいもあると思います。私も市民活動のお手伝いができるように頑張ります。   (じつかわ圭子)